借金は恥? 知られたくない借金と知られてもいい借金

現在のような金融機関から一般市民が借金をするようなことが定着したのは、江戸時代のことからと言われています。

当時は、現在の金融機関に当たるのが両替屋であり、一般市民に当たるのが町民です。江戸時代の町民は至極当たり前なこととして両替屋から借金をして生活していました。借金をしていることを誰に知られても、町民には何の問題もなかったのです。

しかし、武士は「借金は恥である」との気風や意識が強く、借金をしてまで生き恥を晒すことなく「武士は食わねど高楊枝」で武士の清貧や体面を重んじていました。

ですから、もし借金をしていれば、そのことは誰にも知られてはいけないことだったのです。

現代における借金の種類

このような町民と武士の借金に対する意識の違いは、現在の借金においても見られます。

借入方式

たとえば、「借入方式」という側面から見てみましょう。借入限度額50万円のカードローンでの借入は知られたくない人がほとんどですが、利用限度額50万円のキャッシュカードを持っていることを知られたくない人はほとんどいません。

多くの人は消費者金融から20万円を10カ月返済の契約で借り入れたことが同僚や上司に知られることを嫌がりますが、20万円の大型電化製品を10回分割で購入したことが知られることを心配する人はほとんどいません

借入先

次に、「借入先」という側面から見てみましょう。

借入先が銀行であれば、一般には住宅ローン・マイカーローン・教育ローンといった目的別ローンをイメージされることから、銀行のローンを利用していることを知られても大抵の人は気にしません。

しかし、借入先が消費者金融であれば、近年ではだれもがカードローンをイメージすることから、借入していることを知られたくないと考えます。

このように同じ金額であっても借入方式・借入先などの違いによって、知られてもいい借金と知られたくない借金があるのです。

 

借金と言い訳について

人は失敗したときや自分に都合の悪い言動があると、自己否定から自己肯定への理屈付けを行います。

自分の行為を正当化することで、失敗や都合の悪い言動の原因は自分にあるとして自己否定することから、原因は他にあるとして自己肯定できるよう、自分自身を防衛するための心の働きかけが行われるのです。

こうした失敗や自分に都合の悪い言動などを正当化することで、自分自身を肯定する心理機制を、心理学上では「合理化」と呼びます。

借金における危ない「合理化」

この合理化によって私たちは自分が犯した失敗や都合の悪い言動から一時的に逃れることができますし、フラストレーションを引き起こすようなことを、何とか自分自身でも受け入れ可能なものに置き換えることができます。

このことから、できれば受け入れたくない失敗や都合の悪い言動に関しては修正したりニセの理由を捏造したりして、自分自身に対しても他者に対してもウソを付くこともあるようです。

この合理化の言葉による他者への働きかけを、「言い訳」と言います。

言い訳とは、「自分の行為が正当であったと、他者を説得できるだけの内容があると思われる論理的な理由」のことです。他者との会話を通じて自己否定から回避するとともに、他者を納得させることによって自己肯定する行為を指します。

こうした「合理化」「言い訳」は、借金をする人の多くが経験することです。「知られたくない借金」を考えている人の多くが、特にそうした傾向にあります。

知られたくない借金をする人は、借入れの決定に当たって、借入をしたことを知られた時のこと考えてさまざまな言い訳を考えます。自分自身への合理化を含め同僚や上司、妻や家族など、言い訳をする相手は少なくありません。

なお、「合理化」「言い訳」は、失敗や自分に都合の悪い言動をした後の自分自身に対する防衛機制ですが、いわば事前の防衛機制とも言える「セルフ・ハンディキャッピング」と呼ばれる心理機制があります。

失敗するかもしれないとか、自分に都合の悪い言動があるかもしれないとかいった可能性の原因や理由を、外的な条件に求めることで行動する「恐怖や不安を解消する」のです。また、失敗や都合の悪い言動がなかった場合には、自分だからこそそれが可能であったとして自分自身の評価を高めます。

言い訳とは直接的な関係はありませんが、借金に当たっておすすめできる心理機制ではありません。

 

あなたは言い訳をしてまで借金をしますか?

借金をする際の「言い訳」については、ネット上に驚くほど多くの情報が提供されています。それらの情報は、もっぱら借金をする相手方に対する言い訳です。金融機関・家族・同僚などに対し、どのような文言で「お金をかしてほしい」と言うことを伝えれば成功するかを紹介するものです。

それぞれ「なるほど」と感じる貴重な情報は多数紹介されていますが、言い訳として紹介されている文言が借入をする人にぴったりと該当する内容であれば問題はありませんが、ウソの内容であれば問題です。

ウソをついてでも借入が必要としている人にとってみれば自分自身を合理化できるにしても、貸し付ける側にとってみれば結果的には騙されたということになります。

また、約束や契約どおり返済できればまだしも、ウソに因る借金が確実に返済される可能性はほとんどないのが現実です。

金融機関ではそうしたことの発生しないよう「審査」によって厳しくチェックしますが、家族や同僚などは審査をしないで貸し付けてくれるケースがほとんどと言えます。ウソの言い訳を信用して貸してくれた人を裏切ることになった場合、「ごめんなさい」で済まないのは明らかです。

借金をする人には、どうしても借入が必要な理由を説明できないこともあるでしょう。だからといって、ウソの言い訳をかんがえることで自分自身を納得させることはできても、返済できる明確な計画なしに借金をしたり、ウソの言い訳をして借金をしたりすることはおすすめできません。

正直に借金が必要な理由を説明して相談すれば金融機関や家族、同僚ではなくても、公的な機関や団体でもさまざまな相談と貸付の制度を準備していることも忘れないでください。