現代では、住宅や車といった高額な商品を購入する場合や急な出費に対応する場合などは、銀行や消費者金融などの金融機関が提供するローンを利用することが一般的になっています。

一昔前までは「借金は恥」、「借金をなるべくしない生活が当たり前」といった人々の意識がありましたが、これらは時代とともに大きく変化してきています。

「お金を借りる」行為が始まったのは?

こうした借金をするという行為は、いつごろから始まったのでしょうか。

金銭ではないものの「物を借り、後で返す」という行為は、すでに弥生時代には行われていました。

具体的には「米貸し」と呼ばれるもので、農民が神社から種籾を借りて田植えをし、収穫したら利息(利稲)を付けて返す仕組みです。

神社は種籾を農民は貸付し、農民は収穫したコメで返済します。こうした米による貸し借りは平安時代まで続き、金銭での貸借が行われ始めたのは鎌倉時代のことです。

このように、「物を借り、後で返す」行為が始まったのは弥生時代であり、「お金借り、後で返済する」行為が始まったのは鎌倉時代だと言われています。

しかし、現在の貸金業に近い業者による貸付が定着したのは江戸時代のことで、その中心になったのは「両替屋」でした。

この両替屋は両替だけではなく金銭の貸付を行っており、当時の人々の生活に欠かせない存在だったのです。そのことは、明治時代に入り、民法や刑法よりも先に『利息制限法』が法制化されていることに表れています。

このように、現在の様な借金のシステムや行為は、江戸時代に始まったと言えます。

借金は悪いことなの?

ネット上には、借金の善悪についてのさまざまな記事が掲載されています。

それぞれの記事の内容は「なるほど!」と感じますが、借金することを「善悪」で論じたり、借金を「良い借金と悪い借金」といった方法で論じたりすることは、あまり意味のあることではありません。

借金の必要性は人それぞれに違いがあるのですから、借金をすることの善悪や借金の良し悪しを問題にするのではなく、借金は「返済できるか否か」で決定すべきことと言えるでしょう。

当然のことながら借金は必ず返済しなければなりませんし、返済できない場合にはペナルティーを受けなければなりません。

また、貸付してくれた会社や人を裏切り、迷惑をかけます。少し極端な表現ですが、確実に返済できる計画がない人は借金をする資格がないと考えるべきでしょう。

多くの人が、住宅ローン・自動車ローン・スマートホーンなどで借金をしています。

また、企業においても、無借金経営の大手企業などないと言っても過言ではないでしょう。こうした人や企業が借金をしているのは、しっかりとした返済計画ができているからに他なりません。

日本では昔から「借金は恥」、「何となく後ろめたい」とか考える人が多かったのですが、消費者金融のテレビコマーシャルの本格放映・銀行の個人貸付への参入・インターネットの普及などで、借金に対する意識が変化してきたのは事実です。

とは言え、借金はいつの時代においても借金に違いありません。さまざまな欲求を満たすためだけに、返済計画のない借金は慎み、しっかりと返済計画を立てたうえで借り入れを行いましょう。

カードローンでの平均的な借金はいくら?

日本銀行は2016(平成28)年9月に、銀行系カードローンの2016年3月の融資残高が消費者金融系カードローンのそれを上回り、カードローンの主役は消費者金融から銀行に移ったことが発表されました。

具体的な額で言えば銀行系カードローンの融資残高は5兆1227億円で、消費者金融系カードローンの融資残高は5兆1150億円です。

「融資残高」は「貸付残高」とも言い、消費者金融や銀行がカードローンの利用者に貸し出している金額を指します。

2016年3月末の件数(カードローン利用者の人数)については消費者金融も銀行も現時点では公表されていませんが、融資残高は利用者数に比例することから、銀行カードローン利用者が増加しているのは明らかです。

こうした状況にあるカードローンですが、利用者はどの程度の借金をしているかを見てみましょう。

1件(1人)当たり平均貸付残高(総貸付残高を利用者人数で除した額)を明示している「日本貸金業協会」発行の(平成27年度3月末)年次報告書(JFSA白書)によれば次のとおりです。

  • 消費者向無担保貸金業者(444社)の1件当たり平均貸付残高 : 500(千円)
  • 上記のうち大手貸金業者(6社)の1件当たり平均貸付残高 : 537(千円)
  • 大手以外の無担保貸金業者(438社)の1件当たり平均貸付残高 : 355(千円)

1件当たりの貸付残高が50万円ということは、平均的には消費者金融のカードローンを利用して50万円以上の借入をして、現在返済中であることを示しています。

このことから、カードローン利用者の平均的な借金は約50万円と言われることがあるようですが、あまり根拠のある金額とは言えません。

それは、前述した借金の計算に当たっては、次のような点が考慮されていないからです。

  • たとえば複数の消費者金融2社から借入をしていても、それぞれの消費者金融で貸付1件(利用者1人)としてカウントされている。
  • 消費者金融からだけではなく銀行からも借入している利用者については、銀行からの借入額は加味されていない。

この2点を考慮すれば、カードローンでの平均的な借金は、50万円よりも多いと推測できます。

「借金」は「資産」か否か?

「借金」は「資産」と考えるべきかどうかについては、「簿記や会計上では、借金は資産です」と言うのが答えです。

辞典などの解説では、「資産」とは「個人または法人の所有する現金・預金・土地・建物・在庫(商品)などの総称で、財産のことをいう」としています。

どこにも借金は資産とは解説されていませんが、企業が借金をすると借金という負債とともに同額の現金の資産を手にできることから、企業会計では常に負債と資産はイコールであり必ず釣り合うようになっています。それを示したものが貸借対照表(バランスシート)と呼ばれるものです。

すなわち、企業会計上では負債=資産ですから、借金をするとそれと同額の資産が増えます。こうしたことから、「借金は資産である」と言われるようになったようです。

企業にとっては、借金は設備投資・販促経費・商品開発など増益の資金として活用されることから、利息を払ってでも借金という資産を増やすことは自然で当然な企業活動です。

しかし、個人の場合は、借金は資産であると考えて気楽に借金をすることはあまりにも危険です。バブル時代ならまだしも、借金をしてでも投資に活用することで利益を挙げるといったことはおすすめできません。

むやみに借りるのではなく、自身の返済能力を考慮した上でよく考え、カードローンを利用しましょう。